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人間の記憶
メタローグ 1967年から70年まで寺山修司主催の演劇実験室・天井桟敷の専属カメラマンであった作者が、71年フリーになってから撮った写真はこれまでに3冊の写真集にまとめられている。都市より辺境あるいは下町の風景とそこに暮らす人々を、6×6サイズの正方形フォーマットに写し出した彼の初期の作品『風姿花伝』(76年刊)は、アマチュア層に多くの追随者を生み出すほどの影響力を持っていた。そのような須田調はこの写真集にも健在であるが、そうした映像の中に小型スパイカメラで撮られた荒い粒子の映像が白日夢のように唐突に組み込まれている。(杉山八重子/東川フォトアーカイブス) 『写真集を読む』 Copyright© メタローグ. All rights reserved. 内容(「BOOK」データベースより) 人間の容姿、風景に写りこんだ時代の断片が写真を見る者の個人的な記憶の紐になることがある。私自身でさえ、作品は単なる現象の証拠でしかない。記憶はその裏側に存在を潜めている。 -
民謡山河
1978年から2年間日本カメラで連載された「民謡山河」をまとめた写真群。著者が故・田中雅夫氏(写真評論家)と共に「民謡・祭り」を主題に日本各地を巡り撮影した写真から、祭りという非日常性の中での人々の姿、そして日々の暮らしの中での姿が次々に浮かび上がってくる。 著者あとがきより抜粋 「1 人1人の祈りが集積されて、祭りは昴揚してゆく。唄や太鼓にのり、平手で空を切り、手をたたいて時を切り、後ずさり、跳躍し、身体をひねっては日常の呪縛から解き放される。人々は大昔から祭りの一夜にここではない場所へ飛び、自分ではない自分になるすべを知っていたのだろう。祭りという魂の時間から日々の生活にもどった人間の表情に目を配ると、どの顔も愛おしく、どの人生も切なく思えてくる。」 著者:須田一政 写真点数=202点 判型=A5判変型/並製本 価格:¥5,250(税込) (2007 年11月発売)