MW(ムウ) (1) (小学館文庫)
手塚 治虫
▼第1話/誘拐▼第2話/悪夢▼第3話/一蓮托生▼第4話/トライアングル▼第5話/報復▼第6話/悪魔の化身▼第7話/虎口に入る▼第8話/栄光の夜▼第9話/殺しのプレリュード▼第10話/疑惑の穽▼第11話/第三の証人▼第12話/廃墟▼第13話/島の果て▼第14話/再会●登場人物/結城美知夫(関都銀行新宿支店勤務・男女の区別ない変装と明晰な頭脳を駆使し、毒ガス「MW」を世界にばらまこうと画策する)、賀来(神父・結城とはホモセクシュアルな仲であり、彼への愛と自分の信仰との板挟みになって苦悩する)。●あらすじ/息子を誘拐され、身代金を持ってきた中年男が、誘拐犯にアジトへと連れ去られてゆく。そこでは、中年男の息子はすでに殺されており、怒り心頭の中年男も殺害されてしまう。誘拐犯の名は結城美知夫、そして殺された中年男は、銀行員である彼の客だったのだ。その後、結城は教会へ立ち寄り懺悔をする。彼の話を聞く神父の賀来は、結城とは古い仲であり、結城に悪行をやめさせようとしてはいるが、悪魔的な結城の魅力の前に屈服させられてしまう(第1話)。▼賀来は教会の司教に、15年前に沖ノ真船島で起きた出来事を告白する。彼はかつて非行少年グループの一員としてその島に入り、島民へ暴行を働いていた。そこで彼が、まだ幼い結城に出会ったその日、彼の仲間や島民たちは、某国が開発した「MW」という毒ガスの事故で死んでしまう。賀来と結城は、洞窟内のアジトにいたため助かったのだ。しかし幼なかった結城は、まだ残っていたMWに脳を犯され、良心のまったくない人間へと変わり果てていた。賀来はそんな結城を救うため、神父となったのであった。(第2話)。●本巻の特徴/第1巻では、結城と賀来の因縁、そして結城の悪行を、「MW」を開発した者への復讐とみなした賀来が、結城の手助けをする様子が描かれる。●その他の登場キャラクター/支店長(第3、5、7、8話)、谷口澄子(第4、5、6、10、14話)、目黒検事(第5、8、10話)、中田英覚(第7、8、9話)、薮下泰蔵(第10、11、12、13話)●その他DATA/解説・花村萬月
出版社からのコメント
「MW」を全世界にばらまくため、次々と罪を重ねてゆく男と、それを阻止しようとする神父。愛し合いながらも、彼らは闘わねばならない。作者には珍しいピカレスク物が大迫力で描ききられる。