-
密室晩餐会
密室という言葉がタイトルにあるため「密室といえば、驚天動地のトリックでしょッ!」とマニアは大期待してしまうかと思うのですが、ほとんどの参加陣は現代本格の先鋭たちゆえやや趣は異なります。しかし「すげー密室トリック思いついたから短編ひとつ仕上げたろッ!」みたいなカンジでおトイレ臭いトリックをカマして一丁上がりィなんて密室ものはもうウンザリという自分はかなり愉しめました。 収録作は、心の機微を絶妙な伏線へと転化させ、フーダニットでも超絶に驚かせてくれる大山誠一郎「少年と少女の密室」、美夜タンと「犯人」との激烈な心理戦から立ち上る悲哀が秀逸な天祢涼「楢山鍵店、最後の鍵」、否定される推理を重ねていく「やりすぎ」が作者ならではの悲哀の真相を描き出す小島正樹「密室からの逃亡者」、不可能趣味溢れる密室状況に後日談を添えることで異形の時代推理へと昇華させた怪作、安萬純一「峡谷の檻」、後ろ向きのトリックを凝らしながらも事件の構図から浮かび上がる青春の苦みと余韻が心に残る麻生荘太郎「寒い朝だった――失踪した少女の謎」他、全六編。 -
アルファベット・パズラーズ (ミステリ・フロンティア)
東京、三鷹市の井の頭公園の近くに“AHM”という四階建てのマンションがある。その最上階に住むオーナー・峰原卓の部屋に集まるのは、警視庁捜査一課の刑事・後藤慎司、翻訳家・奈良井明世、精神科医・竹野理絵の三人。彼らは紅茶を楽しみながら、慎司が関わった事件の真相を解明すべく推理を競う。毒殺されるという妄想に駆られていた婦人を巡る殺人事件、指紋照合システムに守られた部屋の中で発見された死体、そして三転四転する悪魔的な誘拐爆殺事件―精緻なロジックと鋭利なプロット、そして意外な幕切れ。本格ミステリ界期待の俊英が満を持して放つパズラーの精華。 -
密室蒐集家
「混じりけなし、高純度・高品質の密室パズラー集」綾辻行人氏、麻耶雄嵩氏のダブル推薦!ゼロを代表する名作短編ミステリ「少年と少女の密室」をはじめ、密室蒐集家シリーズを収録したはじめての作品集。