名探偵に薔薇を
城平京
第八回鮎川哲也賞最終候補作であり、城平京の長編ミステリデビュー作(ただし、これより先に光文社文庫の公募アンソロジー『本格推理』第10巻に「飢えた天使」と言う短編が掲載されている)。「メルヘン小人地獄」と「毒杯パズル」の二部構成になっており、『小人地獄』と言う架空の毒薬を巡って起きた事件が描かれている。
当初この作品は第二部のみであり、城平が所属していた大学の文芸部誌に掲載された。後に毒薬の来歴や登場する名探偵の業績を描いた第一章が追加され、今の形になった。
第一の事件が始まるひと月程前、多数の新聞社や雑誌編集部に『メルヘン小人地獄』と言う童話が送付された。猟奇的とも言え、それが書かれ送付された意図は不明。それは毒薬を作った博士と毒薬の材料にされた小人達の因果の物語であり、亡くなった博士の代わりに3人が弔い合戦の犠牲となるものであった。
程無くして童話になぞらえた残忍な事件が起こり、世間の注目を集めることとなる。やがて第二の犠牲も出たものの、容疑者にはアリバイがあり逮捕が困難。そこに名探偵が現れ、鮮やかに事件を解決する。
だが、それが原因で後に再び事件が起きる事となる。