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星を泳ぐサカナ
高校生の優太郎は、望遠鏡を買うためにレンタルショップ『潮騒』でバイトを始め、大学生の本田と出会った。「俺には恋愛欲がないんだよ」と言い、複数の女性と身体だけの付き合いをする彼が、優太郎には孤独な星のように見えた。初めての恋を自覚する優太郎だが、戯れのように与えられたキスは、甘くて優しくて、痛くて…。躓きながら近づいてゆく、二人の恋の行方は——。 -
あめの帰るところ
こんな別れの為にキミと、恋をした訳じゃないのに—— 「離れたくないって想ったら、寂しくなったよ」そう告げたのは、飄々として不躾で、どこか寂しげな予備校講師の能登先生だった。高校生の千歳は、優しすぎる彼の恋心に翻弄されながらも、幸福な時間を積み重ねた。ふたりきりの教室、一緒に見た花火、朝焼け……。けれど、それは一瞬にして千歳の中から消失した——…。恋を初めて知った能登と、恋を忘れた千歳の抗えない想いは……。 -
坂道のソラ
恋は、夜のバスの坂道みたいに寂しいものだと思っていた——。高校生の河野一吹は、毎朝バスで乗り合わせる会社員の大柴賢司と親しくなる。悩みを抱えていた一吹を彼は優しい言葉で救ってくれる人だった。やがて互いを深く知ったふたりは自分を変えるために彼女をつくろうと約束する。しかし賢司と過ごすにつれ、一吹は自分の恋がとても近くにあることに気づいてしまい——…。