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二月病
一九九八年二月、突然おそった出来事が、親友だった彼らの運命を変えた——。 それは幸せだったのか、不幸だったのか。 高校の同級生で親友の蒼司に突然告白された千夏は、恋よりもずっと一緒にいられる道……友人であることを選び、やんわりと蒼司を拒絶する。 その翌日、蒼司は学校に現れなかった。 千夏が自宅や携帯電話に連絡を入れると知らない男が電話に出た。 しかし異国の言葉で聞きとれない。 不安に駆られた千夏は蒼司の家を訪ねるが、そこに彼の姿はなく——。 -
イエスタデイをかぞえて
『三島冬至様、お迎えに上がりました』突然目の前に現れた二人組の死神にそう告げられ、大学生の冬至は自分が死んだことを知る。最後に一つだけ願いを叶えてくれるという死神の言葉に冬至が選んだのは、死ぬまでの人生のやり直しだった。自分が居なくなった後の、恋人・椿 武彦の苦しみを想像すると辛い。恋人にならない様、出会った頃の記憶を頼りに再び人生を送る冬至だったが、己の取る行動が尽く裏目に出てしまいーー。 -
ユレカ
吸血鬼のステフとシュクは、共に旅をする。贖罪のために死ねないステフと、復讐のために生きるシュク。旅の末に見つけたものは──? -
水之春 (全)
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水の春
友達ならとか、いらない。今は、好きでいさせて── とある秘密を抱える春原澄は、目立つことを厭い優等生を演じていた。なのに男が好きと噂でなにかと目立つ存在のクラスメイト・四ノ宮吉野に、その「猫かぶり」を指摘されてしまう。好きだから話をしたいと告白され拒絶した春原だったが、自分を偽らない彼のことが気になり始める。誠実な好意を示す四ノ宮と少しずつ距離を縮めて……。大切に想う人がいるから、一生懸命になれる。初々しくて純粋な恋物語。 妻を亡くした作家と彼に恋した担当編集者の、大人だからこそ臆病になる恋の行方を描いた『花の雨』も収録。