月と泥
大北紘子
リサは田舎から出て都会の女学院に通っている女の子。
帰省して実家のホテルを手伝っていると、見た事もないようなお嬢様が〝父親〟に伴われてやってくる。
一緒に遊ぶうちに、自分より何もかもが恵まれているような彼女に、妬ましさや様々な想いをぶつけてしまうリサ。
だが、ある秘密を打ち明けられて──。
衝撃的な展開に瞳目せざるを得ない表題作『月と泥』。
他にも、かつて同士として軍役に就いていたが、今は国賊とし捕らえられた側の笹島と、捕らえた側の具同の心震える物語、『六花にかくれて』、〝かわいい〟で繋がる、女の子同士の共通項に馴染めない女子高生を描く『好きの海の底』、冴えない30路OL×仕事人間?『しあわせにしてほしい』…等々、女子ならではの奇麗さと相反する汚さ…
複雑な想いを鋭い筆致で描く著者ならではの作品集。
百合の世界は一筋縄ではいかないことばかり。